ニューヨーク近代美術館(MoMA)の増改築や東京国立博物館・法隆寺宝物館など、洗練された美術館建築で知られた建築家で文化功労者の谷口吉生(たにぐち・よしお)さんが16日、肺炎で死去した。87歳だった。後日、メモリアルの会を開く予定。
建築家・谷口吉郎氏の長男で、米ハーバード大で建築を学んだ。帰国後、丹下健三に師事。1978年に静岡県・資生堂アートハウス(日本建築学会賞)を手がけて以後、山形県・土門拳記念館(日本芸術院賞)、愛知県・豊田市美術館などを、金属やガラスによるモダニズム(近代主義)建築を洗練させる形で実現。「美術館建築の名手」と呼ばれた。
香川県・丸亀市猪熊弦一郎美術館や京都国立博物館平成知新館、石川県・鈴木大拙館、同・金沢建築館なども手がけた。
ガラスのドームが海面と連なって見える東京都葛西臨海水族園(毎日芸術賞)など、環境との呼応も重視した。
広島市環境局中工場も美術館のような清掃工場で、映画「ドライブ・マイ・カー」のロケ地としても知られた。
建築そのものを見てもらうことを優先し、ある時期までは、自身の建築についてもほどんど語らなかった。
世界文化賞など受賞多数、日本芸術院会員。